環境保全先進国ニュージーランド(その1)

ニュージーランドは、国鳥にもなっている飛べない鳥キーウィをはじめ貴重な固有種が多く生息する自然豊かな島国です。水力や地熱などによるクリーンエネルギー発電量が約80%を占めており世界有数の再生エネルギー利用率ですが、さらに2025年には90%にするという高い目標を掲げています。

環境保全への取り組みは、こうしたエネルギー政策だけではなく、ごみ問題、固有の生態系保持など多岐に渡っており、国民の生活に根付いているものも多くあります。

たとえば、2001年より、マオリ族の「人は自然環境の一部」という考え方を取り入れた “Enviroschool”という体験型の環境教育プログラム。幼稚園から高校までカリキュラムとして任意導入されており、教育の一環として子供のころから、人は自然あってこその存在であること、人が自然から受けられる恩恵や、色々な環境問題が引き起こされる原因を話し合ったり、自分達がその環境問題の悪影響をどう最小限度に抑えていけるか実際に行動に移していく活動をしており、それは保護者にも間接的に環境教育を促進する狙いもあるといいます。


https://enviroschools.org.nz

2018年にニュージーランド最大の都市オークランド市はゴミを一切出さないゼロ・ウェイスト(Zero Waste) の街を目指すと宣言しましたが、“Enviroschool”に参加しているほぼ全ての幼稚園・学校でもゴミを極力出さないzero waste活動をしています。その一環として、生徒たちがランチを食べた後に出る生ゴミを「ゴミ」として捨てるのではなく、学校のコンポストの箱に入れて有機物の肥料に変えて、学校菜園に役立てています。こうした活動では、微生物やミミズが生ごみを分解する働きや、そのおかげで人が受けられる恩恵を学ぶことができます。他にも水や電気などの資源の大切さを学んだり、その資源の節約や河川の保全活動の一環として植樹活動もしています。

学校によっては、ニワトリを飼い世話をし、とれたタマゴを地域のコミュニティーに販売、その売り上げを再びEnviro活動に循環させるといったこともしています。こうして、子供たちからその保護者、さらに地域の人々へと環境を考える機会が広がっていくことで、環境問題が常に身近にあることが実感できるのです。