環境保全先進国ニュージーランド(その2)

2019年7月1日、「廃棄物問題に取り組むための一歩」として、政府はスーパーや小売店などでのレジ袋の使用(配布)を禁止しました。さらに、リサイクルが困難なポリ塩化ビニルやポリスチレンでできた包装(肉用トレーやテイクアウト容器等)や飲料容器(コーヒーカップ等)を段階的に禁止していくことで、河川や海洋に流れ込むプラスチックごみの量を減らし、海洋生物ひいては地球環境を守ることに繋げる取り組みをしています。

もともとペットボトルではなく、自分のウォーターボトルを持ち歩くニュージーランドの人々には、マイバッグやマイカップへの移行は抵抗なく受け入れられ、期間限定や店舗限定などお店も知恵を絞ったユニークな商品を販売しており、環境保全に一役買っています。

また、固有種の保持、外来種の排除という点においても、ニュージーランドは非常にアグレッシブに対応してきました。日本でも脅威となっている「ヒアリ」。2001年にオークランドの空港そばの敷地にヒアリの巣を空港関係者が発見。直後にニュージーランド農務省は迅速に対策チームを結成し、殺虫剤を使ったコロニーの駆除、発見場所から1キロ圏内を定着ハイリスクエリアに設定し徹底してモニタリング、5キロ圏内を要注意エリアとして調査を行うことで2003年の夏までに根絶宣言を出すことができたのです。また、2018年2月に日本からニュージーランド向けに輸出された新車・中古車1万台以上を積んだ貨物船からクサギカメムシが大量に見つかりました。キウィフルーツ、リンゴなどの農作物に多大なダメージを与えるリスクのある害虫指定を受けている虫です。ニュージーランドはこれらの貨物船からの荷揚げを拒否して、自国への外来種の上陸を回避しました。これを受けて、政府は同年9月より輸入中古車に対する輸出国側での害虫処理を義務化したのです。

このように、ニュージーランドはあらゆる角度から環境を守ることに対して、とても真摯に取り組んできており、それはこれからも続いていきます。教育による国民の啓蒙や国土に対する人口密度の低さもその実現に寄与していることでしょう。ひとりひとりの小さな努力が美しい自然を後世に繋げていくという想いが生活に根付いていること、それが環境保全先進国ニュージーランドを支えています。