環境負荷を“100%”相殺できるチョコレート
カカオの生産量を上げるために多くの会社が行うことは、森林を切り倒し、カカオの栽培農地を増やすことです。しかし、こうしたカカオの連作は、土地を疲弊させ、化学肥料を使わざるを得なくなったり、カカオの病気予防のため害獣駆除を行う必要が出てきたりという大きな問題を引き起こしています。これは永遠に続けられるものではなく、近い将来必ず破綻し、地球上の動植物に多大な影響をもたらす原因となるでしょう。
地球環境を少しでもより良く、より長く維持するためには、作物の生産現場から持続可能な=サスティナブルな循環を作り出していくことがますます重要になります。私どもが扱う、本当の意味でサスティナブルな生産循環を実現しているチョコレートメーカーをご紹介します。
ニュージーランドの南島最大の都市、クライストチャーチ。2011年のカンタベリー地震により多大な被害を受けましたが、中心地にあるクライストチャーチ大聖堂を中心に徐々に復興しつつあります。そんな街の片隅に、2010年Bennetto Natural Foods Companyは誕生しました。
小さなチームで始動したBennetto Natural Foods のチョコレート作りですが、CEOであるルーシー・ベネットの「今までにない」「シンプルで最高の材料」「ゼロエミッション」への熱意は、ある製造工場の目に留まり、やがてより多くの人々へ彼女のチョコレートを届けることが実現可能となりました。その製造工場は、高級チョコレートの生産に長い歴史のあるスイスのChocolats Halba (ハルバ)。同社はそのサステイナビリティ経営において、ヨーロッパでの数々の賞を受賞している会社です。
サスティナブルな生産循環を作るには、様々な取り組みがありますが、そのうちのひとつのプロジェクトとして、バナナ、サツマイモ、とうもろこし、硬木植林などカカオ以外の農作物の栽培を同時に行うということがあります。こうして、農業と林業で森林を活用することにより、カカオはその生産に最適な日陰の環境で育つことができ、生産農家にとってはカカオ収入以外に得られる、収入の多様性を持つことで経済的な安定を図ることができるのです。このプロジェクトは最終的には、病気にならない、良質のカカオを算出し、その生産量を上げることにつながっていきます。さらに、生産者からダイレクトにカカオの買い付けを行い、流通コストを限りなくカットすることで、アンフェアな価格や児童労働の強制などを排除し、労働環境の改善や教育の向上など生産者含めてのサスティナブルなサイクルを生み出しています。
また、この製造工場と、Benetto Natural Foodの取り組みとして、原料生産から消費者に製品が渡るまでに、発生するすべての二酸化炭素を細かに計量し、二酸化炭素を生み出す森林再生の活動も主なっています。 Bennetto Chocolate1000枚で、アマゾンの木が1本植樹されている計算になります。
このような製造工場の協力のもと出来上がったBennetto のチョコレートは、カーボンニュートラルプロダクト認証(生産~消費サイクルの中で発生する二酸化炭素をすべて相殺する)やフェアトレード認証を取得しています。
普段何気なく手にしているチョコレートの生産背景に思いを寄せ、美味しいチョコレートを楽しむと同時に、地球環境を守るという、社会貢献ができるチョコレートなのです。