ペルー産オーガニックカカオ~ACOPAGRO

世界で生産されるカカオのうち、オーガニック栽培されているものはわずか13%に過ぎません。55%がオーガニックであるコーヒー豆と比較するとまだまだ量が少なく、チョコレート市場におけるオーガニックカカオ使用商品は希少といえるでしょう。

世界的なカカオ生産地のひとつである南米ペルーには254もの生産者組織があります。そうした農業協同組合のひとつACOPAGROは、コカインの原料となるコカの葉栽培に代わるものとしてカカオ栽培を促進する国連のプログラムにより1997年に設立されました。当初はわずか27のメンバーでスタートしましたが、現在ではその数は2,000を超え、ペルー最大のオーガニックカカオ輸出者となっています。

それまで、貧困による暴力や犯罪、ドラッグが横行していたペルー。このプロジェクトにより、安全性が高く安定した収入源を得ることで、犯罪率は激減し、より高品質な作物を栽培することに注力できるようになったのです。

一方で、このプロジェクトには弊害もありました。最大の問題は、カカオ栽培の農地を増やすためアマゾンの森林開拓が進んでしまったことです。ACOPAGROの本拠地であるサン・マルティン地域はペルーでもっとも森林破壊の進んだアマゾン地域のひとつであり、過去50年に渡り160万ヘクタールの原生林が伐採されました。ACOPAGROは、2008年に熱帯雨林再生プロジェクトを立ち上げ、カカオ生産にかかる環境負荷を細部まで計算したうえで、生産量に応じてアマゾン植林プロジェクトを開始。30年後に、育った木は木材として売られ、カカオ農家の収入源ともなります。その間も植林事業は続けられ、農家から製造段階、そして製品が卸売販売業者に納品されるまでの温室効果ガス排出量をオフセットするという意味で、このような取り組みはカーボンニュートラルと呼ばれます。

ACOPAGROはこうした森林再生や炭素回収プログラム運動のリーダー的存在であり、高品質なオーガニックカカオ栽培を支える活動を続けています。このカカオを使用したオーガニックチョコレートのお話はまた次回に。