オーガニック認証の裏で

今日は、オーガニック認証とその問題点について、書きたいと思います。

オーガニック認証というのは、商品の、原材料の生産から、加工、商品になるまで、全工程で、化学肥料や、農薬などを使わず、有機のもののみを使い、生産されることを、認められ、得られる認証です。

最近、私は、弊社の扱う、ソロモンゴールド社のタウランガ工場を訪れました。そこで、チーフショコラティエ、グレンさんとの、実際の会話の中で出てきたお話は、とても考えさせられるテーマでした。

私自身は、オーガニック農法の趣旨に賛同しており、市場が広がることを期待している一人ですが、それでも、このオーガニック認証の仕組みや、それがもたらしてしまう弊害について、目をつぶることは、健全なオーガニック市場の拡大にとって、良いことはないと思っています。

ご存知の通り、オーガニック認証をとるには、非常に高額の費用が掛かることは、世界共通です。農薬や、化学肥料に頼らないということは、それだけ害虫などのリスクが伴うということであり、それに対抗する技術や、人件費なども、かかります。

そのため、本来有機で栽培をしている農家でも、認証取得は費用が高すぎて参加できないということが往々にしてあります。ヨーロッパ各国や、日本などの先進国においてすら、そのような状況であり、これが、チョコレーㇳのカカオを生産者や、コーヒー豆の生産者などの多く住む、非先進国においては、認証制度に参加することは、とても個人経営では手の出ない仕組みです。

これらの地域でオーガニック認証をとるための農場を作ろうとすると、そこには、ある程度の大規模な資本が必要になります。先進国の大会社が、大きな資本を入れて、それらの土地の農家を買収し、オーガニック農場を作ろうとすると、どのようなことが起こるでしょうか? 個人経営では、太刀打ちのできない、小規模農家は、こうして、大会社に買収されます。資金力に余裕のある、大きな資本の入る農地には、最新技術が導入され、有機でありながら、生産量が上がります。これが、生産地に明らかな勝ち組と負け組を生み出してしまいます。旧態依然の経営を続ける小規模農家は、これらの大規模資本に太刀打ちができず、衰退していきます。
それが、生産地の多様性を奪うという結果にもなってしまうのです。

以前の「フェアトレードを選ぶ理由」のコラムで、フェアトレードと、オーガニック認証は全く別物、むしろ真逆のものである・・・・ということを書きましたが、生産地の多様性を守り、小規模農家の生活を守るためには、消費者視点のオーガニック認証のみでなく、それがフェアトレードであるということが、こうした脆弱な経済状況の国々にとっては、とても重要なものなのです。

オーガニックがもてはやされ、持続可能な有機農法が人気のトレンドであることは、望ましいことではありますが、個々の国によって、様々な事情の違いがあり、導入方法に、注意を払わないといけないということを、認識させられます。

実際のビジネスでは、オーガニック認証のないものは、見向きもされず、中間業者や小売店にとっては、認証があるかないか、は、天と地をわけるくらい扱いに違いがあることを実感として、認識しています。

しかし、ただ、オーガニックだから、なんでもかんでもいいものですよ~・・・ということではなく、このような、生産地の事情なども、丁寧に拾って、皆様にお伝えしていきたい・・・と考えています。

ではまた。